旧五菱会残党が頼った“ヤミ金帝王”の画期的システムと、違法利息6億円ガッポリの巧妙手口
■徹底した個人情報管理
針谷容疑者は残党たちが運営するセンターから顧客名簿の提供を受け、ターゲットを絞り込んでいた。
手口はこうだ。
「多重債務者や生活困窮者と連絡を取り、自宅や勤務先、家族の仕事など個人情報を把握。摘発を逃れるため、貸金業ではなく商品の売買を装い、客の口座に入金していた。返済の際には他人名義の口座を指定して返金させ、さらに別の口座に移し、出し子が現金を引き出していた。現金はロッカーに預けられ、運び役がまた別のロッカーに移動させるなどして発覚を免れていた。多重債務者を誘って出し子や運び役をやらせるなど、役割分担があった。顧客が返済を滞納した場合、本人の勤務先や家族に電話やメールを送り続け、嫌がらせをするなどして執拗に返済を迫っていた」(捜査事情通)
針谷容疑者は、クレジットカードを作れない多重債務者らに繰り返し金を貸し付け、1件あたり法定利息の3~17倍の利息を受け取っていた。その一方で顧客の資産、家族構成、親族、友人関係を調べ上げ、個人情報を徹底管理し、借り逃げを防いでいた。その結果、今年2月までに延べ約1万5000件、約5億円を貸し付け、約6億円の利息を違法に得ていた。
こうしてヤミ金の帝王が開発した「顧客管理システム」は、20年以上にわたって闇社会で受け継がれてきた。今では犯罪グループの間で「闇リスト」「カモリスト」が使い回され、ヤミ金だけでなく特殊詐欺など、さまざまな犯罪に使われている。