入札10億円でOK? 楽天の本音は「田中は米国で広告塔」
3日、臨時のプロ野球12球団代表者会議が開かれ、メジャー側との交渉が難航している新入札制度についての話し合いを行った。会議には楽天の立花陽三球団社長も初出席。エースの田中将大(25)が望むメジャー挑戦が頓挫する可能性もあるだけに、気が気でないという様子だった。
この日の朝には一部スポーツ紙で、「メジャー側提案 新ポスティング 上限設定ウエーバー」と報じられた。入札金の上限を20億円に設定し、入札球団が複数になった場合は、その年のシーズンで勝率の低い球団に交渉権を与えるというものだ。球界関係者が言う。
「報じられたのはあくまで、メジャー側から出された複数の案のうちのひとつ。が、資金力に限りのある弱小球団にも入札参加のチャンスを与えるというスタンスに立っているメジャー側の修正案は、どれも日本にとってはほとんどメリットのない厳しい案ばかりです。一時は100億円なんていわれた入札金は多くても30億円程度に抑えられる見込み。これでは、楽天が<田中を売る意味がない>と田中の残留に傾いているのも当然です」
一方で、楽天本社サイドからは「球団がマー君の残留を検討し始めているのは事実だが、本社には入札金はオマケみたいなもの、という認識もある」という声が聞こえてくる。仮に田中を残留させても、海外FA権を取得する2年後のオフには間違いなくメジャーに行く。そのとき、「タダ」で出ていかれるくらいなら、仮に10億円でも入札金を得たほうがいい。そもそも、田中をメジャーに「売る」のは、入札金目当てというより、本社の事業戦略の一環という意味合いが強い。楽天は3年前に米国のショッピングサイト運営会社を230億円で買収。現地に「Rakuten USA Inc」を設立し、米国進出を本格化させた。田中のメジャー挑戦を容認し、米国における広告塔にする思惑である。
田中を「売る」のか「残す」のか、最終判断を下すのは三木谷オーナーだ。損して得取れ、という決断は十分にあり得る。