プロ入り時点の評価は上…松井裕樹はマー君を超えられるか
性格面も2人は対照的のようだ。
「松井は、自主トレのシャトルランのためにわざわざ母校で練習までして一生懸命走り切った。頑張り屋ではあるんですが、目立ちたがり屋の一面もある。松井は去る2日、桐光学園が出場した全国高校サッカー選手権を観戦した。田中であれば周囲の混乱を避けるため、あえて会場には行かなかったでしょう。田中は、よく言えばふてぶてしさがあった。07年の新人合同自主トレの初日、長距離走でビリになった。新人選手は初めのうちはいいところを見せたいと無理をしがち。松井がまさにそうです。その点で田中は『走るのは苦手』とケロッとしていましたからね」(田尻氏)
■星野監督の真意
高校時代、松井は3年の夏の県大会で敗退し、人目をはばからず号泣した。しかし田中は、3年夏の甲子園で斎藤佑樹(日本ハム)がエースだった早実と決勝再試合で敗れた際、「悔いはありません」と最後まで涙を見せることはなかった。松井とは違う潔さがある。前出の安倍氏が言う。
「松井が現時点でほぼ完成しているということは、伸びしろは期待できないということ。田中は1年目はガムシャラに投げる力投型でした。でも、2年目、3年目と投球スタイルをマイナーチェンジしていった。そこへいくと全身をバネのように使って投げ込む松井は、田中が試みたようなうまく体重移動をして投げるという投球フォームに変えるのは難しいと思う。このままのスタイルでどこまでやれるのか。松井のプロ野球人生をトータルで見た時に、プロの打者が彼のボールに慣れていない1年目が最も結果を残すかもしれない。星野監督が松井の一軍起用を示唆しているのは、チームの戦力不足だけが理由ではないようにも感じます」
同じ大物ルーキーとはいえ、ポテンシャルには大きな差がありそう。
松井にかかる期待は大きいものの、マー君に代わって楽天のエースとなるには、かなり高い壁を越える必要がありそうだ。