斎藤佑プロ入り最短タイKO…マー君とどこで差がついた?
一方、「勝者」の斎藤はといえばここまで通算11勝16敗。年俸も2800万円だ。昨季は右肩を痛めてわずか1試合の登板。ファンからもすっかり見放され、この日も罵声を浴びながら降板した。
■田中はプロで揉まれ、斎藤佑は大学で…
2人の違いはどこにあったのか。当時の延長再試合を観戦したある球団のスカウトがこう言う。
「あの時からスカウトの間では、『投球術に頼っている斎藤は今がピーク。伸びしろがない』との意見が多かった。ただ、あの大会で『ハンカチ王子』としてブレーク。10年のドラフトで4球団が競合したのはローテ入りさえすれば、グッズの売り上げや集客が期待できたから。田中がプロで揉まれている間に大学で楽をしすぎた。その間に体と心の成長がピタリと止まった」
進学した早稲田大学では応武監督(当時)に甘やかされると、すっかり「オレは特別な投手」と勘違い。寮生活でも群馬県に住む母親からの電話が目覚まし時計になっていた。周囲に守られてヌクヌクと4年間を過ごしている間にライバルだった田中は手の届かない所へ行ってしまった。
「ストライクを取れないと投球にならない」と唇をかみ締めた斎藤。8年前にはもう戻れないのか……。