靱帯部分断裂で戦線離脱…マー君の右ひじを壊した「四重苦」
ヤンキースのチーム事情も負荷をかけた。エース左腕サバシアを筆頭に開幕時の先発投手3人が早々と離脱。ベテラン右腕の黒田は春先、調子が上がらず、田中は孤軍奮闘を強いられた。首脳陣は先発3~4番手のポジションで徐々にメジャーに順応させるつもりだったものの、田中はいきなりエース級の働きを求められた。
7年総額161億円の大型契約も原因だ。ヤンキースはメジャー屈指の人気球団で、ファンやメディアの目は全米で最もシビア。成績が年俸に見合わなかったり、期待を裏切ったりした選手は容赦のないバッシングの嵐にさらされる。投手ではサバシア(7年総額約164億円)に次ぐ大型契約を結んだ田中の右腕には、勝って当然のプレッシャーが重くのしかかっていた。
そもそも日本での登板過多を危惧する声も多かった。楽天時代の7年間、レギュラーシーズンだけでも投球回数は1315・0回。昨年12月、田中がポスティング公示された際、米スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレーテッド」(電子版)は「この年齢(25歳)でこれほど投げている投手はメジャーでは過去35年間いない」と指摘。9日付のスポーツ専門局「ESPN」(電子版)は日本での7年間と今季の合計が1444回3分の1になるとし、「今回の故障は『投げ過ぎ』の兆候ではないか」と報じた。