田中、ヤンキースと暗闘…フロントの本音は「手術させたい」
■費用対効果を最優先
松井秀喜はヤンキースに在籍した07年11月に右膝、08年9月下旬に左膝と2年連続でクリーニング手術を行った。本人は当初、できるだけ早く手術をしてかねての懸案事項だった膝を完治させたかったものの、どうやらヤンキースが渋ったらしい。本人は手術に乗り気なのに、球団はそうじゃなかった。今回の田中とは逆のケースだ。
「松井にしても田中にしても、ヤンキースは費用対効果を最優先で考えているのです」と、西海岸のさる代理人関係者がこう解説する。
「松井が手術をしたのは4年62億円契約の2、3年目。前年の06年にはプレー中、グラブをはめていた左手首を骨折、51試合にしか出場していません。シーズンのほとんどを棒に振ったうえ、翌年も手術になれば、故障ばかりの選手と4年契約を結んだフロントの責任問題になりかねない。松井の膝は悪化する一方で結局、手術に踏み切ったのですが、できれば手術は避けてこれまで通りだましだましプレーしてもらいたかった。長期の大型契約を結んだ田中は事情が違う。ヤンキースが7年160億円の長期契約を結んだのは、田中のケガのリスクも織り込み済み。前半戦の活躍でケガがなければ戦力になることが証明された後だけに、なおさら手術によってさっさと完治させて、残りの契約期間でベストのパフォーマンスを発揮してもらいたい。要するにカネの問題ですよ」
現時点でヤンキースと田中は「手術回避」で一致しているものの、今後のリハビリの進捗状況やプレーオフ進出の可否によって、ヤンキースがいつ、手術をゴリ押ししないとも限らない。田中の今後が心配だ。