阪神は自力優勝消滅…藤浪を沈めた巨人の徹底“待球作戦”
■初球ストライクを悠然と見送り
今季2度目の対戦のポイントは「見る」ことだった。CSまで見据え、ボールを選球しながら、データを取っていたのだ。
巨人は三回に2巡目の7番・隠善がスイングするまで、計15人が初球を見逃した。藤浪が投げた5回打者23人で、初球から打ちにいったのは3人だけ。ボール球もあったが、初球のストライクを悠然と見送った打者が10人もいた。積極的な打者が並ぶ巨人打線では異例のこと。ベンチから「初球は待て」の指示が出ていたことは明らかだった。
藤浪からの四死球は3。「見た」おかげで8三振を食らったものの、二回までに4得点。狙い通り、5回で89球を投げさせた。
球数が多く、四球で自滅することが多い巨人先発の沢村が、自軍の「待球作戦」を参考にしたかはともかく、114球でわずか2安打。1年2カ月ぶりとなる完封勝利をマークした。
「心技体そろえばこういう投球ができる」と指揮官。あるいはこの作戦、藤浪の攻略以上に、沢村に効果があったのかもしれない。