今の巨人に「江川と西本」はいるか
2人が活躍した当時の巨人は原辰徳、中畑清ら魅力的な選手が多かった。「ファン」も「アンチ」も巻き込み、巨人の話題が世を席巻した。激しい競争もありチームは活性化し、それが巨人の強さの源になっていた。
今週から「ビッグコミックスペリオール」でスタートする僕の新連載「江川と西本」(作画・星野泰視)では、2人の相克を軸に、今や忘れ去られた80年代の熱気を伝えたいとの思いを込めた。
それは社会が成熟していなかった時代の産物かもしれない。ただ、今の巨人で内海哲也と杉内俊哉が、江川と西本のようにギラギラしながらエースの座を争っているだろうか? 選手の気質が変わったのか、FA制度ができて生え抜き同士による競争が減ったからだろうか?
巨人には、多くの野球ファンが熱狂し、野球界を大いに盛り上げる存在であってほしいと僕は願っている。
▽もりたか・ゆうじ 1963年、長野県生まれ。漫画家・コージィ城倉の原作者としてのペンネーム。89年「男と女のおかしなストーリー」でデビュー。筆者原作の「グラゼニ」(「モーニング」連載中)は「お金」をテーマにした野球漫画。タイトルは、主人公・凡田夏之介の座右の銘である「グラウンドには銭が埋まっている」が由来。