孤独にじむ“元怪物”…ソフトB松坂大輔のキャンプに密着
バスの中ではほとんど話かけられず
■2月12日 9:14 大型観光バスで到着
平日ながら100人以上のファンに迎えられた。休日には1000人以上が待ち構えることも。バスは野手組と投手組の2台に分かれていて、松坂は投手組の左後方が「定位置」とか。
「バスの座席は決まってませんけど、キャンプ初日からいつもあの辺に座っている」とはある若手投手。バスの中では基本的に音楽を聴いているようで「話しかける人はほとんどいません」(同)。
■9:26 メーングラウンドでウオームアップ
他の選手同様、ダッシュやストレッチなど、全メニューを消化。松坂の世話役兼話し相手だった1歳年上の五十嵐(亮太=35)が8日に右足ふくらはぎを痛めて別メニュー調整に。現在は2歳年下の摂津(32)が時折話しかけるくらい。黙々と体をほぐすことが多い。キャンプインから10日以上が経つとはいえ、若手は「平成の怪物」に声をかけづらいようだ。
「僕ですら、昨年ソフトバンクに入った当初は、他の選手に話しかけるタイミングとか難しかったので。何となく気持ちはわかります。でも、近いうちに僕ら(後輩)から松坂さんを食事に誘おうという話はしているんですよ」とは同僚右腕の中田(32)。
休日だった9日はこの中田、内川(32)と3人でラウンド。松坂は「87」で回ったそうだ。
「あんなにゴルフがうまいとは思いませんでした。僕は3ケタで、内川さんが98ですしね(笑い)。ラウンド中は本当に気さくに声をかけていただきました。話すと本当にいい人なので、お互い気を使わないようになりたいですね」(中田)
■10:25 サブグラウンドでキャッチボール
五十嵐が別メニュー調整になって以降、相手は日替わり。この日はブルペン捕手だった。右隣の摂津にシンカーの握りを教えてもらう一幕も。吉井コーチが横に立ちながらフォームを確認した。
■10:40 投内連係
■10:57 トレーナーと遠投
ブルペンでの投球練習が予定されていたため、50人以上の報道陣が「故障か?」とざわめく。すぐに吉井コーチが現れ、松坂の遠投(距離約70メートルから80メートル)を見ながらマンツーマンで改めてフォームをチェックした。
吉井コーチは「本人が下半身の使い方を練習したいと言っていたから。それに付き合っただけ。こっちからは何もアドバイスはしていない。最後の方の投げ方は(フォームが)まとまっていたね」とコメント。
松坂本人は「ブルペンに入るよりも、ああいう形(遠投)で投げた方が(続けているフォーム修正で)いい形をつくりやすいので」とブルペンを回避した理由を説明した。
チーム関係者は「別の理由もありますが……」とこう続ける。
「ブルペンに入ると佐藤義則コーチが付きっきりで指導を行うじゃないですか。そうなると松坂も自分のやりたい投球練習ができなくなる。それに松坂は吉井コーチに以前から何度も『フォームをチェックしてください』とお願いしていた。ブルペンでの指導となると、吉井コーチも佐藤コーチに気を使って松坂を指導しにくいでしょうから」
松坂なりの気遣いがあったというのだ。