勝ち負けつかずも…広島マエケン「メジャー準備」抜かりなし
満員御礼。スタンドが真っ赤に染まったマツダスタジアムで開幕投手の大役を任された前田健太(26)は、新球の落ちるスライダー(縦スラ)を効果的に使った。三回には2死一、二塁のピンチで、畠山に対して外の縦スラを意識させ、内角速球で空振り三振。7回2失点も打線の援護に恵まれず勝ち負けはつかなかったが、「結果として(チームは)負けてしまったし、もう少ししっかりした投球をしないといけなかった」と語った。
実は前田、キャンプ終盤から短期間で縦スラを手の内に入れたという。その理由をライバル球団のスコアラーがこう「解説」する。
「マエケンは昨年、スプリットの習得に失敗。縦に落ちる変化球がない。チェンジアップはいわゆるサークルチェンジで、シュート気味に落ちる。この日は得意の横スラよりも縦スラが多かった。右打者の外角に加え、左打者の内角にも何球か投じていた。たまに制球が甘くなる時はあるが、今後はさらに磨きがかかってくるのではないか」
広島OBは「田中も黒田も上原もフォークを投げる。岩隈もそう。メジャーの日本人投手は縦に落ちる球があるから成功している。打者の傾向も含めて、そのことは黒田からもレクチャーされているはずですよ」と言う。
11年オフにメジャー移籍したダルビッシュはその1年前から、筋トレで体重を10キロも増やしていた。マエケンも実戦の中で海を渡る準備をしているということか。