先発で球児狙う阪神の“悪癖” 若手投手は出番激減、育成停滞
ある阪神OBは「球児を取る? 懲りないね」と、苦笑いを浮かべながらこう続けた。
「(元監督の)岡田が本に書いていたが、球児は03年オフに戦力外でクビになるはずだった。それを岡田が、短いイニングならいけるといって残してもらい、あれだけの抑えになった。それを先発で使うというのも無理があるが、編成の実権を握る南球団社長は何を考えているのか。メジャー帰りといえば、09年秋に城島を取って課題の捕手育成が遅れた。西岡、福留の補強も、大きな戦力アップになったとはいえない。阪神にだって若い選手はいるだろう」
新人左腕の横山雄哉(21=新日鉄住金鹿島)が21日に先発する。2年目左腕の岩貞も次カードのDeNA戦に登板予定だ。藤川を取って先発枠が1つ埋まれば、若手の出番は激減する。
「だから、球児なんて取らずに若手にどんどんチャンスを与えるべき。一軍での失敗は糧になるし、若い投手が結果を残せば他の選手も『オレだって』となる。メジャー帰りの日本選手を取るたびに、阪神の若手は腐る。近年の巨人や日ハムは名前も知らない若い選手が次々に出てくるのに、阪神はなまじ金があるから、その場しのぎの補強を繰り返す。だから育成力も向上しない。悪循環だ」(前出のOB)
野村克也元監督がよく語る組織論の原則に、「組織はリーダーの力量以上には伸びない」というのがある。今の阪神にピッタリの言葉だ。