麺棒も自分で “バット名職人”久保田五十一さんがそば打ちに
山本浩二、落合博満、ランディ・バース、イチロー、松井秀喜、小久保裕紀など名だたる超一流スラッガー御用達のバット職人がいた。03年に厚労省「現代の名工」に選ばれ、05年には黄綬褒章を受章した“バット作りの名人”久保田五十一さん(72歳)だ。去年4月10日にミズノテクニクスを退職した名人、今どうしているのか。
「この麺棒、私が削りました。使いやすい、と相棒も気に入ってくれてます」
タヌキの焼き物で知られる滋賀県信楽町。信楽高原鉄道信楽駅前にある「そば処 山久」で会った久保田さん、こういって麺棒をかざした。
「これ、バットを作る際に出る端材を削った特製なんです。バットは適正な部位が限られ、重量基準もあって、使用木材の全部が全部使えない。その余った材料の有効利用のため、麺棒を思いつきましてね。福井県内のいくつかのそば打ち道場を回って研究し、嘱託社員になった09年から作り始めました。もちろん、市販されてますよ」
一般的な麺棒は1本2500円前後から。しかし、久保田さん謹製の麺棒は青タモ、メイプルなどの高級木材を用いているとはいえ、1本2万5000円から3万3600円と破格だ。