<第2回>手術明け長野の開幕起用を焦った罪
「本人のはやる気持ちにストップをかけて、調整と実戦の段階をしっかり踏ませた上で、たとえ開幕から少し遅れても、もう少し万全な状態になってから一軍に呼んでいれば、長野が2割5分で終わるはずはなかったのに……」と前出の首脳陣は悔やむ。
開幕当初は打撃で軸足となる右ヒザの状態が良くなかった。何しろ手術明け。試合後はもちろん、試合前も練習が終わった時点で一度アイシングで冷やさないと全力で走れない状態だったという。
原監督はそんな長野に追い打ちをかけた。6月、ボール球の空振りが多いと、目の検査を受けさせたのだ。「動体視力の項目でレコードが出た。悪いのは目じゃなかった! 技術だったんだよ!」と「口撃」までした。
東京ドームでのナイターの日に秘密の早出練習も課した。通常の練習より2時間近く早い昼の12時前後から、密室のブルペンで原監督自ら打撃投手となって熱血指導。開幕で見切り発車させ、ボロボロになるまで追い込んでしまったせめてもの罪滅ぼしをしたかったのかもしれないが、かえって疲労度が増したのか、打撃が劇的に上向くことは、最後までなかった。