<第3回>体感“160キロ”マシン特打で貧打深刻化
しかし、選手に「野性」を求める指揮官の耳には届かなかった。
■選手からもブーイング
かくして今季も開幕から打線は低空飛行。見かねた指揮官は、あろうことか、キャンプ後は室内練習場で個人練習用となっていた「160キロマシン」を6月半ばに再び引っ張り出して、試合前の練習で復活させた。冒頭の主力選手が続ける。
「正直、圧倒的に反対意見の方が多かった。特に6月に高速練習が復活した時は、150キロ程度に速度が抑えられたとはいえ、『試合前もやんの?』って非難ごうごう。試合前に150キロ超に目が慣れるのはいいんだけど、どうしても始動が早くなる。今年はチーム全体で、とんでもないワンバウンドの変化球を振ってしまうケースが多かったように見えましたね」
一方、この異様な光景を見た相手チームのコーチはほくそ笑んだ。
「よっぽど速球が怖いんだろうな。あんなことしたら、逆に変化球についていけなくなる。キャンプならまだしも、試合前なんだから」
その通りだった。昨季から1試合減なのに、三振数は923から974に増加。打率も.257からリーグワーストの.243に下降した。
原監督が貧打解消のために取り入れた練習は、かえって貧打を深刻化させる結果となった。