日本ラグビーの歴史変えたジョーンズHCの「気概と行動力」
■眠らない指揮官
ジョーンズHCは、選手にGPS(衛星利用測位システム)も装着し、スピードと走行距離を調べて練習メニューを考え、分析結果やデータは若い選手が使い慣れているiPadなどを利用した。
本番直前には今W杯の南アフリカ戦で笛を吹いた主審を練習試合に起用。判定の癖などを探り、チームで英国の競技場や合宿地の下見も行った。雨天試合を想定し、せっけん水でボールを滑る状態にして練習したこともある。
一方で、「いつ寝ているのか?」と言われるほど、戦術やライバル国の研究、それに向けての練習の工夫や準備に余念がなかった。体格差のある外国人相手に好成績を残す女子サッカー日本代表の試合を見れば、なでしこの佐々木則夫監督(57)を訪ねた。女子サッカーから、速いパス回しと豊富な運動量でカバーすることを再確認したという。
「ジョーンズHCは明確な目標に向かって綿密な計画を立て、それを選手に実行させて結果を残した。そして、人数が多いなどと、いろいろ言われている外国人選手や元外国人選手と日本選手との融合に成功した。外国選手も不慣れなハードワークで鍛え上げ、国際的に通用するチームに仕上げた点は、誰でもできることではない。ダメなチームを改造するということは、はっきりとした目標を持ち、言葉と行動で選手の意識を変え、『そこまでやるのか?』というハードな練習と周到な準備が必要ということです」(前出の工藤氏)