日本ラグビーの歴史変えたジョーンズHCの「気概と行動力」
ここまでやらなければ歴史は変わらないのだ。
W杯イングランド大会1次リーグB組の日本代表には、ラグビーファンでさえ仰天した。現地11日に行われた米国戦にも28―18で勝利し、通算成績は3勝1敗。前日にスコットランドがサモアに勝ち、日本は勝ち点差で3位が確定。目標に掲げていた決勝トーナメントへは進めなかったが、初戦では世界ランク3位でW杯2度優勝の南アフリカを撃破。世界を驚かす番狂わせで24年ぶりにW杯2勝目を挙げると、第3戦ではサモアに圧勝。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC=55)は、過去7大会連続出場で1勝しかできなかったラグビー後進国を大きく変えた。
強豪国の豪州や南アフリカで指導経験のあるジョーンズHCは、トップリーグのサントリーの監督を経て12年春から日本代表の指導を開始。「勤勉で忍耐力のある日本人」(同HC)に、1日3、4回、朝5時から厳しい練習を課してきた。
スポーツライターの工藤健策氏が言う。
「ジョーンズHCは、FW、DFのコーチ以外に、日本の弱点のひとつといわれるスクラム強化のためにフランス人のダルマゾコーチを呼んだ。スクラムが弱いと自分たちのラグビーができない。低い姿勢で下から突き上げるスクラムを組むため、選手の腕やひざ、姿勢、顔の向きまでこだわった。そのために練習場には、小型無人機ドローンを飛ばし、上空からスクラムの組み方を撮影して何度も修正した。同時に、フィジカル強化のために、体に重りをつけてのハードな筋トレをやらせた。当初は愚痴をこぼす選手もいたそうだが妥協しなかった。小柄な選手の筋肉も“鎧”と化し、欧州相手でもフィジカル面で負けなくなり、13年にはラグビー王国のウェールズを倒し自信を持ったのです」