市民「NO」で五輪招致断念 ハンブルクに真っ当なコスト意識
国民のレベルがわかる結果だ。
24年夏季五輪の開催都市に立候補したハンブルク(ドイツ)の招致委員会は29日、五輪招致の是非を問う住民投票の結果を発表。巨額な開催コストへの懸念などから反対する票が51.6%、賛成は48.4%。過半数の賛同を得られず、招致を断念することになった。
ショルツ市長は10月、総額112億ユーロ(約1兆5120億円=当時のレート)とする予算計画を発表し、このうち74億ユーロ(約9990億円=同)は税金で賄う予定だった。
招致委は、サッカーの06年W杯ドイツ大会招致における買収疑惑や五輪のドーピング騒動、国内の難民問題、テロへの懸念なども投票に影響したと指摘したが、賢明な判断ではないか。
ドイツでは、ミュンヘンが22年冬季五輪の招致を検討しながら住民の賛同を得られず断念。米ボストンも24年五輪招致から撤退した。
20年東京五輪の当初予算は7340億円だった。それが、建設費やテロ対策費などが膨らみ2兆円を超えると予想されている。新国立競技場の建設費も上限は1550億円とされたものの、東京都が約400億円を負担することになりそうだ。国民はそんな大金を使って五輪をやってくれとお願いしたわけじゃない。福島原発の事故処理も思うように進まず。国内を見渡せば、大金を使うべき懸案は山積している。五輪に「NO]を突き付けた市民は後世で称えられ、五輪のツケに苦しむ日本の子供たちは先祖を恨む……。