自己申告ゼロでNPB“終幕” 野球賭博問題の風化を危ぶむ声

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 その翌日、12球団代表者会議が都内で開かれ、「12球団共同声明」を発表。球界浄化に全力で取り組むことや、選手相互間の金銭のやりとりを禁止することが明記されたという。開幕2日前に膿を出し切ったような体裁を整え、無理やり「幕」を引いたわけだ。

 事件を忘れて贔屓球団に熱い声援を送るファンの姿を見ると、NPBは安堵かもしれないが、まさかこれだけで裏社会に通じるといわれる、一連の野球賭博問題まで「終幕」にはできない。そこでNPBは、先の「自主申告」という時限立法を持ち出したのだ。

「それはNPBが、野球賭博問題を解明するために努力しているということを、世間にアピールしているに過ぎない。これで申告する選手が出てこなければ、今回の野球賭博問題はどんどん風化していくだろうし、“減刑”につられて誰かが名乗り出てくれば、選手たちは野球賭博というものを甘く考えるようになる。野球賭博に関与した事実が確認できたら厳罰を科すしか再犯防止の有効な手だてはない。NPBのやっていることは逆行している。今後もこの手の事件が起きれば、否、数年後には必ず起きるだろうが、その時もNPBは、事件の真相究明は取材熱心な週刊誌や選手の自主申告に頼らざるを得ないのだろう」(前出の坂井氏)

 44年前、主力選手の永久追放などで西鉄球団が吹っ飛んだ、暴力団と野球賭博の問題もすっかり風化し、当時のことを伝えてくれる人も激減した。それが今回の事件につながったことは否定できないうえ、NPBのハンドリングは疑問だらけ。球界の浄化は望むべくもない。

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