闇賭博選手に厳罰もチームは…問われる企業の“監督責任”
巨人選手による一連の野球賭博問題は世間を驚かせたが、今度はNTT東日本のバドミントン部に在籍する桃田賢斗(21)、田児賢一(26)らが「闇カジノ」や「闇スロット」という、違法賭博で遊んでいたことが発覚。バドミントン協会は、桃田を日本代表の強化指定から外し、無期限の競技会出場停止処分を科し、12年ロンドン五輪代表の田児は、無期限の登録抹消処分とした。
暴力団の資金源になっている違法賭博に多額の金をつぎ込んでいた選手が厳しい処分を受け、世間から非難されるのは当然だが、選手が所属する企業の監督責任や社会的責任を問う声は意外にも少ない。
企業の社会的責任(CSR)とスポーツ活動との関係に詳しい、早稲田大学スポーツビジネス研究所・スポーツCSR協会会長の松野弘氏(千葉商科大学人間社会学部教授)がこう語る。
■「企業はスポーツの社会的な責任や役割も積極的に考えるべき」
「プロ野球選手にしろ、五輪の日本代表選手にしろ、幼少の頃からスポーツ漬けで、社会常識や社会倫理性が欠如している人が多い。彼らは、スポーツビジネスの加速化に伴い、金銭を稼ぐことが大きな目的となっている。一方、選手と契約している企業の側が、スポーツによって消費者の関心を集めたり、会社の一体感、企業PRを目的とすることは否定しません。ですが、企業がスポーツという社会的な活動に参画している限り、スポーツの社会的な責任や役割も積極的に考えなければなりません。同時に、社会常識やスポーツ倫理・スポーツの社会性に対する理解に欠ける選手を教育・指導する責務があると思います。『会社が契約している選手をどう扱おうが、わが社の勝手』という考えではなく、スポーツは一般国民であるスポーツファンによって支えられているのだから、企業もスポーツで得たものは社会や地域に貢献、還元するべきです。最近の一連のスポーツ界の不祥事をみると、日本の企業スポーツが販売促進や営業面に重きを置きすぎていることに起因していると思われます」