自己申告ゼロでNPB“終幕” 野球賭博問題の風化を危ぶむ声
1970年前後に発覚したプロ野球界の大掛かりな八百長事件、いわゆる「黒い霧事件」により身売りした西鉄を受けて誕生した太平洋クラブ・ライオンズの球団代表を務めた坂井保之氏(野球経営評論家)が呆れ顔でこう語る。
「NPBは『捜査権がないから犯人捜しには限界がある。野球賭博をやったことがある者はまだいる気がする。自ら出てきてくれよ』と。まあ、そういうことでしょう。野球賭博関与というのは重大な野球協約違反であり、ファンへの裏切り行為です。理由はどうあれ厳しく罰しなければならないのに、『罪を軽くするから自首しなさい』という取引をすること自体考えられない。『ボクも野球賭博をやりました』という者が出てきたところで、事件の全容解明などできるはずがない。捜査権も人も予算もある警察がどれほど手を尽くしても、非合法の賭博はなくならないわけですから」
■「真相究明アピールにすぎず」
プロ野球の熊崎勝彦コミッショナー(74)は開幕直前の3月22日、野球賭博関与を認めた巨人の高木京介投手(26)の1年間の失格処分を発表した。すると同日、複数球団で発覚していたベンチ前の声出しによる金銭のやりとりや、ノックでミスをした選手への罰金徴収以外に、高校野球を対象にした現金授受や賭け麻雀、賭けゴルフ、賭けトランプの事実などがボロボロ出てきた。