厳しい自力V 稀勢の里の綱取りには日本人の援護が必要だ
「集中して思い切っていった。初日にしてはよかったと思う」
大関稀勢の里(30)が危なげない相撲で御嶽海(23)を寄り切り、取組後にこう言った。
綱取りのかかった稀勢の里が場所前、特に力を入れたのは下半身の強化だった。いつも以上に四股を踏み、ぶつかり稽古でも下半身の踏ん張りを意識した。「やり残したことはない」と挑んだ今場所でまずは無難なスタートを切ったが、肝心な場面で勝負弱さを露呈するだけに“自力V”は厳しいのではないか。
なにしろモンゴル人横綱が3人もいるのだ。稀勢の里に3人を投げ飛ばすだけの技量があるとは思えないし、そもそも1対3じゃ、あまりに分が悪い。3人の牙城を崩すためには、ひとりぐらい日本人力士に暴れてもらう必要がある。だとすれば期待できそうなのは初場所で優勝した琴奨菊(32)くらいしかいない。
とはいえ、その琴奨菊が初場所優勝以降、サッパリ。春場所は綱取りがかかりながら8勝7敗と勝ち越すのがやっとで、先場所も10勝5敗。この日も西前頭筆頭の栃煌山にいいところなく押し出され、多くは期待できない。
稀勢の里の綱取りはやはり難しそうだ。