東京五輪で野球復活決定 早くも浮上する代表監督の名前
■1億円不倫事件裁判の余波
そもそも、早い段階から「本命」と目されたのは、原辰徳前巨人監督(58)だった。巨人監督として計12年でリーグ優勝7回、日本一3回と抜群の実績を持ち、代表監督としても09年の第2回WBCで世界一。日本代表人事に影響力を持つ読売と巨人のバックアップがあり、加えて今回の野球復活に貢献した組織委の「種目追加検討会議」の座長である御手洗冨士夫経団連名誉会長が、財界人による巨人の私設応援組織「燦燦会」の会長を務めていることから、側面支援も万全だった。
しかし、状況が一変した。6月28日に、12年に週刊文春が報じた原前監督の「1億円不倫スキャンダル」で名誉を傷つけられたとして文芸春秋を訴えていた裁判で、巨人の敗訴が確定。原監督が過去の女性問題に絡んで元暴力団組員に1億円を支払ったとする記事の内容、巨人側が会見で「反社会勢力ではない」とウソをついたと指摘したことなどが、最高裁で「記事の主要部分は真実だ」と認められてしまったのだ。巨人広報部は「事実誤認の甚だしい不当な判決が確定したのは極めて遺憾だ」とコメントしていたが、反社会勢力との交際や金品の授受などを禁じる野球協約違反にも関わってくる重大な問題で、「五輪監督どころではなくなった」(同前)というのである。
球界には他に、元巨人でヤンキースでも活躍した松井秀喜(42)、五輪期間中の公式戦を中断することが決まったことから、前年の日本一監督など現役指揮官に託してはどうかという意見も出ている。「1度限りの五輪代表監督」の座を巡って、イス取りゲームが始まりそうな雲行きである。