福岡国際もローカル大会に 日本マラソンが陥る“負の連鎖”
近年の国内レースは、記録更新を期待できる選手もいなければ、「レースが壊れるとテレビ中継がもたない」(陸連関係者)との理由から、1キロ約3分程度で誘導するペースメーカーの存在が海外招待選手の記録にもブレーキをかけている。低レベルのレースでは視聴率が下がるのは当然で、スポンサー集めにも影響しているという。
ある大学陸上のOBが言う。
「正月の箱根駅伝は毎年約30%の視聴率が取れる。元日の実業団駅伝もその半分ぐらいの数字は取れる。日本において駅伝は完全に文化になっているのです。だから実業団では駅伝に出る選手はプロ化され、大会成績や個人の記録でボーナスが出る。42キロ以上を走るマラソンは駅伝の負担にならない程度にやっていれば、十分生活ができる。陸連や実業団などがこの図式を変えない限り、五輪でメダルなど夢物語です」
■実業団より学生
さらに、別の関係者が言う。
「昨年の福岡は自己記録(2時間8分56秒)で3位に入った佐々木悟がリオ五輪の切符を獲得し、本番は16位だった。持ち時計からすれば、あれが精いっぱいです。今の時代、駅伝優先の実業団選手にマラソンの記録を求めても無理です。次回の五輪は地元開催だというのに、今の陸連にマラソン強化の画期的プランはない。瀬古を看板にしたマラソン強化戦略プロジェクトも、東京五輪で惨敗が見えているので、名前のある瀬古は腹切り役ともっぱらです」