契約延長と故障リスク…マー君の今季はジレンマ登板続く
田中にすれば、いま以上の年俸を手にすることは困難でも、オフの契約破棄条項を武器にせめて1、2年の契約延長は勝ち取りたい。
今年はオープン戦6試合、計23回3分の2を投げてたった2失点(自責点1)。開幕戦は黒星だったとはいえ、例年になく好調なのは、ヤンキースとの契約をできるだけ有利に運びたいという意思の表れに違いない。
■右肘靭帯が完全断絶ならすべてパー
しかし、だからといって田中には常にフルスロットル、全力投球を続けるわけにはいかない事情があるとか。ライバル球団のスカウトがこう言うのだ。
「右肘靱帯の部分断裂ですよ。田中は1年目のシーズン中に肘の故障で離脱して以降、明らかに力をセーブして投げているように見える。ボールをリリースする瞬間の力強さが、1年目の序盤ほどじゃなくなりましたからね。特にストレートを投げる際に、そういった兆候がうかがえる。ボールに全力でスピンをかけにいって、ブチッといくのが怖いのでしょう。靱帯が完全に切れてしまったら、他の部分の腱を肘に移植するトミー・ジョン手術が必要になる。契約破棄どころか、1年以上、投げられなくなるわけですから」
自らの価値を高めるために今年こそぶざまな投球はできないが、かといって無理をして靱帯が完全に切れてしまったらすべてがパーだ。
今季の田中はジレンマを抱えながら投げることになる。