監督選びより難しい 侍メンバー巡るプロ対アマの綱引き
「アマの意見も尊重しないといけない」
ある委員のひとりはこうつぶやいた。
5日、20年東京五輪野球の代表監督について協議する侍ジャパン強化委員会が開かれた。井原委員長(日本野球機構事務局長)は、歴代の五輪(正式競技となったアトランタ以降)、WBC監督らに個別のヒアリングを行った上で、次期監督を選定する見通しを明らかにした。
すでに次期監督候補には、09年WBC世界一監督の原辰徳氏、04年アテネ五輪代行監督を務めた中畑清氏らの名前が挙がっている。野球が復活する東京五輪では、金メダル獲得が代表の使命。野球は欧州で人気がなく、試合時間が長いこともあって08年北京五輪を最後に除外されている。競技としての復活は東京大会限りともっぱらだ。翌21年にはWBCも控えており、「五輪はWBCとも連動する。オールプロで勝負に徹するべき」との声があるのも確かだ。
「しかし、それではアマが黙っちゃいない」
とは、前出の委員。
「日本中が盛り上がるWBCがあるとはいえ、野球人口が減っていく中、アマ球界の底辺拡大のためにも、おそらく最後の五輪野球は重要なイベントです。アマ関係者の中にはプロ球界の大物とパイプがある者もいて、自分たちの意向を少しでも反映させ、アマの存在感を世にアピールしたいと考えている。例えば、早実の清宮が早大に進学した場合、2020年は大学3年。清宮をアマの顔として送り込むのはもちろん、アマのドラフト1位候補をメンバー入りさせることも検討されるでしょう」
五輪は「アマの祭典」と考えている者はプロにもいる。マーリンズのイチローもかつて、「オリンピックはアマチュアの最高の大会であるべきだと思っている」と語っていた。今後はコーチ人事なども含め、プロアマの綱引きが激しくなりそうだ。