「選考方式より強化策が大事」 日本マラソン界に疑問の声
瀬古リーダーは「今は一日一日がもったいない」と時間がないことは承知している。ならば、その一日を無駄にしないためにも、強化戦略プロジェクトリーダーとしてやるべきことはいくらでもあるはずだ。
■初マラソンで3位の大迫は米国留学中
くしくもこの日、5000メートルの日本記録(13分08秒40)保持者・大迫傑(25)が初マラソンで、2時間10分28秒で3位に入った。ボストンマラソンで日本人が表彰台に上がるのは、87年優勝の瀬古リーダー以来だ。
早大卒業後、実業団の日清食品グループに入った大迫は15年3月に退社。スポーツメーカーのナイキが運営する「ナイキ・オレゴン・プロジェクト」に所属し、東京五輪のマラソンで金メダルを取るために力を蓄えている。大迫がリスクの高い米国留学を決断した背景には、充実した環境やスタッフが魅力だったこともあるが、「指導者が勉強不足の日本にいても未来はない」との強い思いからだといわれている。
大迫だけじゃない。リオ五輪の惨敗後に退任した宗猛・前男子マラソン部長の強化方針などに反発していた選手や指導者は少なくなかったが、早くも瀬古氏のリーダーシップに不安の声も上がっている。
アフリカ勢が五十歩も百歩も先を行く今のマラソン界。強敵たちは、得意顔で五輪代表選びを発表した「ニッポン」を、鼻で笑っているのではないか。