平幕力士が虎視眈々 稀勢の里を追い詰める1824万円懸賞金
■初日の懸賞は162万円
だがしかし、目の前に多額の現ナマがぶら下がっているとなれば、そんな雑念も吹き飛ぶ。
今場所、稀勢の里への指定懸賞は608本。懸賞は1本に3万円の現金(手取り)が入っているので、総額なんと1824万円。1日平均40本とすれば、稀勢の里に勝てばその場で120万円を獲得できるわけだ。これは平幕力士の月給とほぼ同額。初日に稀勢の里に勝った嘉風が手にした懸賞は54本。162万円もの大金だ。これでやる気を出さない方が、どうかしている。
かつて「ガチンコの実力者」と周囲から一目置かれていた高見盛(現振分親方)が小結止まりだったのも、「人気力士だけに常に懸賞が出されており、他の力士の標的にされていたことが大きい」(相撲記者)と言われている。カネの力は大きいのだ。
しかも平幕力士が横綱に勝てば金星で、給料アップのチャンス。金星1つにつき4万円が、場所ごとに支給される褒賞金に上乗せされる。つまり、1度横綱に勝てば年収が24万円アップ。これが引退するまで続くのだ。
年収アップに月給並みのボーナスも付いてくるとなれば、平幕力士が遠慮する理由などない。勝ち星と現ナマに飢える“獣たち”にとって稀勢の里は差し出された生肉と同じだ。手負いの横綱を追い詰めるのは、史上最多の懸賞金かもしれない。