揺れる金本阪神「超変革」 数字での判断は“並”のやり方だ
先月29日、阪神のドラフト2位新人・小野泰己(23=富士大)がプロ初勝利を挙げた。金本監督は、今年一番かという笑みを浮かべていたが、そりゃそうだろう。
今季13度目の先発にして、ようやくつかんだ白星。つまり、投げども投げども結果がついてこない新人投手に、13回もの先発機会を与えたのだ。登板するたびに重圧が増す中で投げ続けた小野も立派だが、諦めずに投げさせ続けた金本監督の胆力も敬服に値する。
指揮官は、「春のキャンプで見たときから、あのストレートに惚れ込んでいますから」と言っていた。そうだとしても、なかなか信じ切れるものではない。首位広島とは差がついているものの、2位をキープして優勝争いをする中でのことだ。12試合で0勝7敗、防御率5・49の新人にチャンスを与えるのには限界がある。並の監督なら、中継ぎ降格、二軍再調整といった策を取るのが普通ではないか。さすがは、「超変革」を旗印にして若手育成に力を入れる金本監督――。
と、ここまで褒めたところで、疑問が頭をもたげる。小野にはここまで我慢をしながら、なぜ、原口文仁(25)、高山俊(24)、そして藤浪晋太郎(23)らに対してはそれができないのか。