金星配給もカヤの外…日馬富士に救われた稀勢の里の幸運
最多タイ記録にリーチ――と言っても、本人は喜ばないだろうが……。
もはや事件でもニュースでもなくなった横綱稀勢の里(31)の敗戦。19日も、また負けた。
相手は6勝1敗と波に乗る平幕の逸ノ城。稀勢の里は立ち合いからの左差しを狙うも踏み込みが弱く、逸ノ城に右をしっかり固められると手も足も出ない。ぐいぐいと攻めてくる相手に力なく土俵を割った。支度部屋では報道陣の問い掛けに一切答えず、無言のまま会場を後にした。
初日の玉鷲戦から数えて、今場所だけで4個目の金星配給。1場所の金星最多配給は、2001年の武蔵丸(現武蔵川親方)が記録した5個だ。稀勢の里はそんなワースト記録に、あと1つと迫ったのだ。
こうなると当然、「横綱の責任」といった批判は避けられない。
しかし、稀勢の里にとって幸運とも言えるのが、角界を巻き込んだ日馬富士の暴行事件だろう。発覚当初は現役横綱による暴力沙汰という報道だったが、いまや焦点は貴乃花親方(元横綱)の不可解な言動にある。事は「第3次貴の乱」の様相を呈しており、日本人横綱が金星を配給し続けていることは二の次、三の次だ。