久保裕也<2>「細くても強くなる」と欧州挑戦で気付いた
ピッチ上でも屈強で大柄な男たちと渡り合うために工夫を凝らした。最初は「体を大きくすればいい」と考え、筋トレに励み、食事量も多くして体重を10キロ増やした。「だけど“使える”筋肉じゃないので走れるわけないですよね(苦笑い)。体質的に落ちるのも増えるのも早いんで、すぐに落としました」と失敗談を打ち明けた。
「大事なのはサコ君(大迫勇也=ケルンFW)みたいに細くても強くなること。そのためには当たり方を工夫し体幹を強化しないと。体を大きくして強さを優先させるもんじゃないと思います」と久保は自らの生きる道を見いだした。同時に「当たられて普通」という感覚も重要だったという。
「日本では『当たられたら嫌だ』『当たられないようにプレーしよう』と考えてましたけど、やはりデュエル(1対1など球際の強さ)は大事。そこで勝てれば、相手を1人はがせる。当たられてボールを失いたくなければ、もう少し速くプレーすればいいだけ。欧州で気付きました」と彼は神妙な面持ちで言う。
この経験があったから1月に移った新天地ヘントでは、昨季後半だけで17試合11ゴールという華々しい活躍を見せることができたのだろう。環境適応能力の高さは、久保の大きな武器である。
(つづく)