クラブハウスの音楽は大輔君の先発時に一番気をつかった
長らく、レッドソックスの主砲を務めたデービッド・オルティスはリーダー的存在でした。当時、主将は捕手のバリテックでしたが、オルティスはクラブハウスや移動の車中を仕切っていました。
空港へ移動するバスは2台で、首脳陣とスタッフ、選手で分乗します。試合後、テンションが高ぶっている選手が多いので、勝っても負けても車中は遠足のような雰囲気でした。オルティスはチームを盛り上げようと、さまざまな余興を企画しました。豪快なスイングとは対照的に、オルティスは細かい気配りができる人です。選手をバスの前方で歌わせるのも、そのひとつ。歌い手に指名されるのはルーキーに限りません。オルティスはよく自分と同じ野手を指名していました。
「きょう、打てなかったヤツは出てこい」と命じ、アカペラで1曲披露させるのです。
僕や大輔(松坂)君も例外ではありません。僕は洋楽は無理なので、自分のカラオケのレパートリーの中から、80年代の人気ロックグループ「BOO/WY」の「NO.NEW YORK」をチョイスしました。「NEW YORK」を連呼する箇所があるため、チームメートに分かりやすいと思ったからです。