「稽古を30番やっても50番やっても、汗をかいただけでは意味がない。いいときの自分と、いまの自分はどこがどう違うのか検証しないと。わたしが千代の富士さんの連勝を53で止めたときも、いつもより朝、1時間も2時間も早く起きて、自分は何が悪いのか徹底的に考えた。すると、立ち合いだと。いつも相手に合わせて立つから、相手のペースになる。しっかり腰を決めた段階で、自分のペースで立とうと。それと稽古は同じ相手、やりやすい相手とばかりやっても意味がない。むしろ嫌な相手と積極的にやらないと」
かつて横綱を張った八角親方の「体」と芝田山親方の「心」の立て直し方、稀勢の里には山ほど参考になる部分があるはずだ。