大技回避を明言も フィギュア羽生結弦に一発逆転の可能性
もっとも、GPファイナル覇者で史上初めて5種類の4回転ジャンプに成功したネイサン・チェン(18=米国)らのライバルと比べれば、現状の羽生は心もとない。
羽生は技術点、演技構成点などでライバルに引けを取らないとはいえ、本番を前にコーチが大技封印をわざわざ明言したのはライバルへの揺さぶりとみられる。大舞台を前に陽動作戦に出るのはカナダ人コーチの常套手段だからだ。
バンクーバー五輪金メダルのキム・ヨナ(27=韓国)を07年から4年間指導した際には、こんなことがあった。
キム・ヨナは、バンクーバー大会のプレシーズン(09―10年)は新調したスケートシューズがなじまず、演技構成を変えたこともあり、特にフリーでミスが続出。安藤美姫らのライバルを抑えてGPファイナルを制したものの、ジャンプにミスが出て完璧な出来ではなかった。当時のオーサー・コーチは「シューズの調整に苦しんでいる」「フリーの構成を変える必要があるかもしれない」などと、五輪開幕直前まで不安を口にし続けた。それが、キムは本番で別人のような滑りを披露し、ショートプログラム(71.37点)、フリー(150点)とも歴代最高得点(当時)をマークしての完勝だった。
今回、羽生の「4回転ルッツ回避」はコーチのブラフ。本番では大技を決めて一発逆転の金まであるか。