彦根東が掲げる「文武同道」の真意とは 村中監督に聞いた
――校内のグラウンドは狭く、できる練習は限られる。そんな中、環境面で大きな変化があった。
「今まで使えた近所の『バッセン(バッティングセンター)』が昨年末に閉店して、打撃練習ができなくなってしまったんです。この冬は学校で打撃練習ができなかった。彦根はかなり雪が降ります。週末だけ県外の高校に赴いて、練習させていただいた。今年に入ってから週に2回は外で練習させてもらえる場所を探してきました。まずは岐阜県。伊吹山、関ケ原を越えると雪が降らない。あとは兵庫県、四国の香川県。ありがたかった」
■エースは京大志望
――公立の進学校でもスポーツ推薦があって野球部を強化できる都道府県や学校も中にはある。中学時代に野球で実績を残した選手は入試で考慮されないのか。スカウト活動はしないのか。
「それは全くありません。全員が一般入試を受験して入ってきます。勉強も野球もやることは同じという意味で、私は『文武同道』と言っています。野球部の目的は甲子園に行くことではない。何かのため、誰かのために自分の力が注げるような大人になること。とはいえ、ある程度のレベルにならないと勝負にならない。強豪校と戦えるところまでは引き上げてあげたい。年によってはそこまで行かないかもしれませんが、県でベスト4、ベスト8には入っています。スカウト活動は一度もしたことがありません。してもムダですから。試験前に推薦みたいなものがあるのか? とよく聞かれますが、一切ありません。上から順番に点数で切られます。今年の新1年生で野球経験者は四十数人。半分くらい入部してくれればいいんですけど」