全米“大谷フィーバー”の背景に米国人が共感する開拓者精神
「著名なコラムニストが誰よりも速い球を投げて、誰よりも大きな本塁打を打つと絶賛しているように、米国人は基本的にパワーベースボールを好みます。ルーズベルト大統領がかつて『一番面白い試合は8対7』と言ったくらい。特にテキサスやカリフォルニアはその傾向が強い。数値化できる分かりやすいものが好きだから、本塁打の飛距離や投手の球速にもこだわるのです」
そういえば米国は食い物も大味といわれる。甘いか、塩辛いか。肉といえば分厚いステーキのことだから、田舎町のスーパーには薄切りなんて置いてない。速い球を投げて、デッカイ本塁打を打つ大谷は、そんな風土にマッチしているようなのだ。アメリカ野球愛好会副代表で、法大講師の鈴村裕輔氏も「米国には大谷が受け入れられる土壌があります」と、こう続ける。
「つまりフロンティア精神です。彼ら自身、合衆国を新興国家だと認識していますし、新たなことにチャレンジする人の背中を押す、応援する気質がある。打撃の良い投手はいても、両方に秀でている選手がいない中、日本から大谷がやってきて投手と野手を兼任、しかもどちらも優れた成績を残しています。いわばパイオニア、開拓者だからこそ大きな支持を得ていると思いますね」
全米の「大谷フィーバー」には、それなりの理由があるのだ。