米国にも存在? メジャーリーグにおける「忖度」の事例
このような米国では、実は裁判関連の文書で「忖度」に相当する言葉がしばしば用いられているのだ。
すなわち、判決文や判例集などには「文書中に表現されていない意向に従うのではなく、文書の内容に従って解釈しなければならない」といった定型的な表現がある。そして、「表現されていない意向に従う」(according to the unexpressed intention)が、「忖度」に相当するのである。
こうした「言葉に秘められた意図を読み取る」という意味での「忖度」は、大リーグでも散見される事例といえる。
ヤンキースのオーナーだったジョージ・スタインブレナー3世は、しばしば「勝利こそ私の人生の中で最も重要なものだ」と指摘した。この言葉の背後には「ワールドシリーズの制覇こそが最優先されるべきだ」という考えが潜んでいたため、ヤンキースの歴代ゼネラルマネジャーは巨額の資金を投じてフリーエージェントとなった有力選手と高額の契約を結んできた。これは、大リーグにおける「表現されていない意向に従う」忖度の象徴的な例だ。