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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

見逃し三振OK? 西武“山賊打線”の精神的ゆとりが羨ましい

公開日: 更新日:

 よって、そんな阪神を追いかけてきた私にとって、西武の山賊打線とは羨望の的なのである。なんでも、ある関係者から聞いた話によると、西武は「見逃し三振OK」という方針で若手打者を育成しているのだとか。

 もしこれが事実なら、なるほど画期的なことかもしれない。普通、打撃の基本とはバットを積極的に振ることだとされているため、その対極にあたる見逃し三振はご法度のはずだ。しかし、よく考えると積極性を推奨しているからこそ打者は時にボール球に手を出したり難しいコースに食らいついたりして、凡打に倒れるどころか、フォームを崩すことにもつながってしまう。つまり、積極性とは悪球打ちと表裏一体しているわけだ。

 その一方で、見逃し三振をOKにすると打者は好球必打に徹するようになる。確かに打撃の基本はバットを振ることかもしれないが、そこには甘いコースを見極めて振るという大前提があることを忘れてはならない。

 そう考えると、見逃し三振でガタガタ言ってはいけないのだろう。「打てるボールがなかったから振らなかった」という理由でベンチに帰ってきた打者がいたら、それは決して消極的というわけではない。よく見極めたと肩を叩くべきである。

 いずれにせよ、西武の打者は精神的なゆとりをもってバットを振っているように見える。そういう空気も含めて、西武がうらやましいのだ。

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