著者のコラム一覧
田崎健太ノンフィクション作家

1968年、京都市生まれ。ノンフィクション作家。早大卒業後、小学館入社。「週刊ポスト」編集部などを経て、99年末に退社。著書に「W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇 」(新潮文庫)、「偶然完全 勝新太郎伝」(講談社+α文庫)、「真説・長州力 1951-2018」(集英社文庫)、「電通とFIFA」(光文社新書)、「真説・佐山サトル」(集英社インターナショナル)、「ドラガイ」(カンゼン)、「全身芸人」(太田出版)など多数。

強豪国苦戦続き ロシアW杯で格差是正の法則が働いている

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 加えて、世界中の優秀な選手は欧州のトップリーグに固まっている。彼らは各国リーグ、欧州リーグで経験を積み、ある意味、均一化している。各国の差が縮まったのは当然のことだろう。

 そんな中で、「差」を生み出すのは、チームのフィジカルコンディションと、ごく一握りの突出した異能の選手である。例えば、ポルトガルのC・ロナウド。あるいは、ブラジルのネイマール、アルゼンチンのメッシ。アルゼンチンが瀬戸際で踏みとどまり、ドイツが転落したのは、世界的にはトップの選手が揃っていたにもかかわらず、メッシのように「個」で決めることの出来る選手がいなかったからだ。

 そして加えるならば、したたかさである。

 アジア代表のオーストラリアは1次リーグ突破を懸けて、すでに敗退が決まっていたペルーと対戦した。オーストラリアは勝利を計算していたはずだ。しかし、ペルーはオーストラリアにボールを持たせたが、得点までは許さない。そして、焦りが見え、隙が出来たところを仕留めた。彼らにはブラジルやアルゼンチンのような爆発的な強さはない。しかし、老獪でしたたかだった。改めて、南米サッカーの足腰の強さを感じる一戦だった。

 コンディション、異能の「個」、そしてしたたかさが、今後も勝敗を左右するはずだ。

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