五輪自転車ロードコース 世界の中野浩一が激怒した理由
「本来であればコースを選定する前に(日本自転車競技)連盟に相談すべきなのに、大会組織委員会からは一切そういうものはなかった」。世界選手権のスプリントで10連覇を果たした「世界の中野」こと、日本自転車競技連盟の中野浩一選手強化委員長がカンカンだ。
中野強化委員長が不満を漏らしているのは、東京五輪組織委員会が9日発表した東京五輪の「自転車ロードレースのコース」(男子)に対してだ。発表によると、武蔵野の森公園(東京・府中市)をスタート。「道志みち」と呼ばれる国道413号を通って山梨と静岡の県境にある標高1111メートルの籠坂峠を上り、富士山麓で1451メートルの最高到達点を通過。平均斜度10.6%の急勾配が6.5キロ続く“心臓破りの坂”と呼ばれる三国峠を抜けて富士スピードウェイ(静岡・小山町)のゴールまでを競い合う。
全長244キロで、レース中に上った標高の合計となる「獲得標高」は4865メートル。北京(4736メートル)やロンドン(3127メートル)、リオ(3690メートル)と比べても高いほか、「道志みち」は、道が狭く見通しが悪いことで知られている。先月18日にも自転車サイクリング部の高校生が急カーブで大型観光バスと正面衝突して死亡する事故があったばかりだ。中野強化委員長が思わず懸念を示したのも、競技者のパフォーマンスを心配してのことだろう。あらためて中野強化委員長に聞くと、こう答えた。