輝星君はそれでも行きたい? 若手投手が育たぬ巨人の体質
救援陣をみても、開幕時の「勝利の方程式」は、10年1位の沢村、43歳の上原、マシソン、カミネロの4人。現在の守護神はアダメスが務めている。やはり13年以降に指名された投手は皆無なのだ。
ドラフトで投手を指名していないわけではない。17年の1位は鍬原、16年は2位の畠から7位の廖まで6人が投手だった。15年1位の桜井を含めて13年以降に指名された投手は、先発でも救援でも中核を担えていないことになる。
■巨人の元投手コーチ2人がチーム方針に苦言
元中大監督でかつて巨人の投手コーチを務めたOBの高橋善正氏(評論家)は「最近のドラフトで獲得した投手が、これだけ出てこないのは異常です」とこう続ける。
「まず補強に頼る球団の方針が大きい。毎年FAや外国人選手を多く獲得するため、せっかくドラフトで指名されても、他球団よりチャンスが少ないのは確かです。巨人は基本的に『出てこられるものなら出てきてみろ』というスタンス。もちろん、どこの球団にも競争はあるが、中でも巨人は高卒選手には厳しい環境です。吉田は伸びのあるいい直球を投げるが、松坂のようにすぐに2ケタ勝てるタイプではない。育成期間が必要になる。球団が先発投手として育てると決めるなら、例えば二軍で3年計画を立てた上で、一軍で一定の登板機会を与えるなど、方針を徹底しないと投手は育たない。現在の二軍にはFA入団の山口俊がいる。技術的な問題がある場合、『使えるようにして戻してくれ』と一軍から二軍の首脳陣に依頼がいく。そうなると巨人では育成よりそっちが優先される傾向があります。なにせ高い年俸を払っている補強組。若手の指導は後回しになるわけです」