Dバックスとマイナー契約 吉川峻平メジャー定着のハードル
社会人右腕が日本球界を素通りして海を渡った。
ダイヤモンドバックスとマイナー契約した吉川峻平(23=前パナソニック・写真)。すでに、アリゾナ州スコッツデールのキャンプ施設で練習を開始しており、今後は同州で行われている教育リーグにも出場する見込み。吉川同様、2008年にレッドソックスに入団した田沢純一(当時22=新日本石油ENEOS)は日本のプロ野球を経ずに渡米した。田沢は3年総額400万ドル(当時のレートで約3億8000万円)のメジャー契約。球団の期待通り、1年目からメジャーに昇格し、13年には不動のセットアッパーとして世界一に貢献した。
吉川はマイナーから昇格を目指すが、田沢のようにメジャーで活躍できるのか。
「現時点では厳しいと言わざるを得ない」と、さるメジャーのスカウトがこう続ける。
「平均球速は143キロとマイナーでも球威があるとはいえず、抜群の制球力があるわけでもない。シンカーを決め球にしており、米国でも多投すると思いますが、ストレートに伸びがないので、相手打者には簡単に見極められるのではないか。まだ23歳と若く、線が細い(183センチ、77キロ)ため、トレーニング次第で伸びしろはあると思いますが、年齢的には再来年に2Aでプレーしていないと、メジャー昇格は望めない。社会人野球から入団した稀有なケースだけに、球団からチャンスは与えられるはずです。今後3年で、チャンスを生かせなければ、マイナーに埋もれるかもしれません」
吉川は交渉の段階で、社会人野球を統括する日本野球連盟の規定に抵触して資格剥奪処分を受けた。「田沢ルール」もあり帰国しても2年間は日本のプロ野球でプレーできない。退路を断ってのメジャー挑戦だけに、今後3年間が勝負になる。