初の一人横綱が2連敗 稀勢の里に白鵬・鶴竜が高笑いのワケ
誰の目にも「完敗」だった。
横綱稀勢の里(32)が初日から2連敗。2日目の12日は、妙義龍に寄り倒しで敗れた。
立ち合いから激しい差し手争いとなったこの一番。稀勢の里は左を差させまいと右腕をがっちり固める妙義龍を攻めあぐね、苦し紛れに小手投げを繰り出そうとした。しかし、これが大きな隙となり、妙義龍はもろ差しに成功。稀勢の里は何とか抵抗しようとするも、あえなく尻もちをついて土俵下に転落した。
この和製横綱、左を取れば無類の強さを発揮する一方、左を使えないと何もできない。相手の強みを封じた妙義龍の戦術勝ち……と言いたいところだが、問題は稀勢の里の腰高相撲だ。
解説を務めた鳴戸親方(元大関琴欧洲)は、「精神的に自分に負けると、棒立ちになる」と話していた。それが力士全体のことなのか、稀勢の里個人のことかは定かではない。とはいえ、稀勢の里が「一人横綱」の重圧に苦しんでいることは事実だろう。
今場所直前までは「目標は優勝」と勇ましかったものの、去る8日に白鵬、鶴竜の休場が発表されるやトーンダウン。なにせ、稀勢の里にとって、一人横綱は初の経験だ。そこにきて、自身の完全復活もアピールしなきゃいけない。ただでさえ、「ノミの心臓」と呼ばれている男だけに、にっちもさっちもいかなくなったのだろう。