雄星を取り損ない半年がかりで作った資料がゴミになった

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 年明けに菊池雄星のマリナーズ入団が決まってからしばらく、何もヤル気が起きなかった。

 ドジャース、レッドソックス、ヤンキース、フィリーズ、ジャイアンツ……菊池の本拠地での登板を欠かさずチェックしてきた球団のスカウトたちもおそらく、似たようなものだと思う。

 早い時期からGMに菊池獲得を進言していたわたしは、約半年かけてプレゼン用の資料作りをした。

 日本人の好む居住地区、日本人コミュニティーのある場所、日本人医師のいる病院のある場所、日本の日用雑貨や食材を扱う店、ナイター後もやっている日本料理の店……本拠地だけでなくキャンプ地に関しても同様のことを球団スタッフと事細かく調べ上げ、リポート用紙10枚ほどにまとめたのだ。

 日本で名の知られた都市であっても、実際にそこで生活するとなると何かと不便が生じる。本人が野球に集中できる環境を整える、グラウンド外でストレスをためずに済むような配慮があるに越したことはないとの判断からだ。メジャー球団は多かれ少なかれ似たようなプレゼン用の資料を用意するものだ。

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