高木美帆は世界新V 史上初“1分50秒の壁”破ったバランス力
平昌五輪団体パシュート金メダリストが快挙である。
10日(日本時間11日)のスピードスケートW杯今季最終戦(米ユタ州ソルトレークシティー)で、高木美帆(24)が1500メートルを1分49秒83の世界新記録で優勝。ヘザー・リチャードソン(米国)が2015年にソルトレークシティーでマークした1分50秒85を塗り替え、女子史上初の1分49秒台をマークした。
今大会の会場であるソルトレークシティーは標高1400メートルで気圧が低いため、好記録が出やすい高速リンクとして知られる。リンクコンディションは近年まれに見る良好な状態で、大会前から記録ラッシュが予想されていた。リンクに恵まれたとはいえ、タイムが平昌女王のイレイン・ブスト(オランダ)らの強豪よりもよかったのは事実だ。
01年世界ジュニア選手権覇者で、10年バンクーバー五輪代表の土井槙悟氏が、今季の高木の滑りをこう解説する。
「今季は短距離種目にも積極的に出場してスプリント力を強化してスピードに磨きがかかりました。長距離種目を得意として高木選手はスタミナを武器にしていたとはいえ、並の選手であれば、スピードが付くと、スタミナがなくなり、周回ごとにタイムは落ちます。けれども、高木選手はスピードとスタミナのバランスがよく、最後まで安定したラップを刻んでいました」
高木は、表彰台に上がった他の2人が3周目に失速(28秒台)する中、唯一、27秒台(27秒09)をマークした。レース後、「満足はしていない。また追求していきたい」と、更なる高みを目標に掲げた高木が、自身のワールドレコードを塗り替える日は来るか。