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友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

イチローのような“感動”は皆無…MLBスター選手の引退模様

公開日: 更新日:

 イチローのように大きな感動の中で、引退する選手は皆無である。大選手でも引退表明→記者会見→ホーム最終戦で簡単な引退セレモニー、というクラシックなパターンで引退するケースが最も多いが、他にもさまざまな形態が存在する。

○失業引退……最近急増しているのが、このパターンだ。メジャーでは30代半ばになると引退年齢と見なされ、有名選手でも契約してくれる球団が見つからなくなる。それでも選手自身はまだまだやれると思っているので、トレーニングを継続しながらオファーを待つことになる。しかし次のシーズンが始まっても、どこからも声がかからず、やむなく引退を決断するパターンが多い。

 大選手は一番長く在籍した球団と1日だけマイナー契約。昔のユニホーム姿で始球式に登場し、ファンに別れを告げる。イバン・ロドリゲス、ジム・トーミ、松井秀喜らはこのパターンだった。

○半強制引退……2010年5月、前の年にマリナーズに復帰していたケン・グリフィーJrは慢心して試合中、ロッカールームで居眠り。監督が代打で使おうと思ったとき、ベンチに姿が見えなかったため、他の選手が探しに来て居眠りが発覚した。球団は怒り心頭。成績も低迷していたため球団社長、GM、監督の3人がグリフィーを呼んで「もう君を使う気はない。クビになって他球団に行くか、ヒーローとしてここで引退するか選択しろ。引退するならそれなりの処遇をする」と迫った。雇ってくれる球団などないことを知っているグリフィーは引退を選択。大選手の風格を漂わせながら記者会見に臨んだ。これに近いのはミゲル・テハダとマニー・ラミレス。晩年に禁止薬物の使用が発覚して100試合出場停止になり引退に追い込まれたケースだ(ラミレスはのちに引退を撤回)。

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