観客を襲うファウルと「フライボール革命」の因果関係
大リーグの公式データ解析装置である「スタットキャスト」も打球速度を計測しているし、日々の練習の中で打球速度を上げるために打撃フォームの改良にいそしむ打者も少なくない。
むろん、打球速度を向上させる打撃を身につけたとしても、すべての打球が長打となるわけではない。例えば、すべての球種の中でカーブの被本塁打率が最も低いことが分かると、多くの投手がカーブを効果的に投げて長打を防ごうとしている。打撃は繊細なものであり、たとえ芯から0.5ミリ外れただけでも長打が凡打になり、本塁打がファウルとなる。
■打撃速度の向上
だが、今回と同様に観客にファウルボールが直撃した17年9月の事例では、トッド・フレイジャー(ヤンキース)の打ったファウルの打球速度が時速約170キロであった。
このように、「フライボール革命」の下では、ライナー性のファウルは、以前に比べて打球速度が上昇する傾向にあることも事実だ。
現在、大リーグでは各球団が「バレル」や「EV」を選手の評価に活用する場面が増え、選手も打球速度の向上に余念がない。