「スーパーボウルの100倍」が物語るメジャーリーグの地位
漫才のようなやりとりは、4月26日に行われた日米首脳会談で起きた。
日本人にとって天皇の即位がスーパーボウルと比べてどれくらい重要かを尋ねたドナルド・トランプに対し、安倍晋三が「スーパーボウルよりも100倍重要だ」と答えると、トランプは「そういうことなら、行きましょう」と即座に訪日を表明した。
会談後の記者会見で首脳同士のやりとりの一部始終を話したトランプもトランプであり、天皇の即位とプロアメリカンフットボール・NFLのスーパーボウルを比べたトランプをたしなめられなかった安倍も安倍と言えよう。
その一方で、トランプ側としては首脳同士の会話をあけすけに記者団に語ることで安倍との親密さを演出しようとしたことは明らかだ。また、安倍にとっても、トランプの素朴な質問に当意即妙に答える様子が紹介されれば、巧みな交渉能力を強調できるから、悪い話ではない。言わば、日米両首脳の思惑が一致した結果が、トランプによる「スーパーボウルよりも100倍」という逸話の披露であった。
ところで、ここで注目すべきは、トランプがスーパーボウルを引き合いに出して天皇の即位の意義を尋ねた点だ。