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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

また制球難露呈…どうか神様、藤浪を救ってやってください

公開日: 更新日:

 とはいえ、そんな藤浪であっても、彼が同試合で降板した時、観客は大きな拍手と声援を送った。あれだけ不甲斐ない投球を見せてしまったにもかかわらず、いつもは厳しいはずの虎党が藤浪にはやさしかったのだ。

 この気持ち、虎党の私は非常によくわかる。なんというか、今の藤浪は心の底から応援したくなってしまうのだ。

■ここから先は信仰のの領域

 確かに彼の投球は期待外れに終わったし、チーム状況も良くないし、死球を食らった木下も気の毒で、そのへんについては擁護に値しないのかもしれない。しかし、今の藤浪にはひたすら応援することくらいしか策も言論も見当たらないのだ。

 なんというか、これはもう神頼みみたいなものである。世の中には理屈ではどうにもならない、あるいは決して避けることのできない厳しい現実がいくつかあるが、だからといって人間は「だったら、しょうがないよね」と頭で割り切れるほど強い生き物ではない。

 割り切れるほど強くないからこそ、我々は時に神様にすがりたくもなるし、祈りたくもなる。ここから先はきっと信仰の領域だろう。

 信仰とは現実逃避ではなく、どうしようもない現実に対する個人のあらがいなのだ。だから、今の私は野球の神様に頼ろうと思っている。そんなものがいるかどうかはわからないけど、そこにすがることでしか自分を保てない。

 どうか神様、藤浪を救ってやってください。

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