日本ラグビー史に残るアイルランド戦劇的勝利の要因を探る
ところがアイルランド戦の彼らは、開幕戦の時とは別人になっていた。スタンドの大声援とその熱量を文字通り「後押し」に変え、自分自身との戦いにもうち勝った。開催国のプレッシャーから解き放たれたジャパンの戦士たちは、実力を遺憾なく発揮できる精神状態に変わっていた。
格上アイルランドに対して「当たって砕けろ」のチャレンジャー精神で臨めた。これが、勝利を手繰り寄せる大きな要因だったと思われる。
落ち着いたメンタルで試合に臨み、アイルランドに<勝つための>戦い方をジャパンの選手たちが遂行できていた。これも勝因に挙げられる。
お互いがボールを蹴り合うキッキングゲームになれば、アイルランドの優勢となる。そこでジャパンは、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)の代名詞とも言える<キックを最小限にとどめ>、そして<選手間の距離を縮めて短く早いテンポのパスをつないでフェーズを重ね>ボールをキープすることで相手にプレッシャーを掛け続けた。まるで4年前の南アフリカ戦を彷彿させる戦い方だったのである。