来季から先発転向 楽天・松井「間違いなく勝てる」の根拠
■球種を増やすより強弱を意識すること
もちろん、先発には先発の大変さはある。が、それはローテーションに定着してから徐々に感じるもの。少なくとも先発転向1年目の来季は、肉体的にも精神的にもプラスの方がはるかに大きいだろう。
最初の中日の投手コーチ時代、絶対的なストッパーだった鈴木孝政を先発に転向させたことがある。入団以来、9年間で359試合に投げていた孝政はさすがに“勤続疲労”が表面化、球威の衰えがいかんともしがたくなった。そこで、1982年のシーズン途中に先発に回ってもらい、84年には16勝8敗の好成績を挙げてその年のカムバック賞を受賞した。
先発転向に際し、私がアドバイスしたのは2つだけ。直球とフォークボールだけだった球種にチェンジアップを加えることと、投げる球に強弱をつけること。いずれも、長いイニングを投げるためだが、特に強弱は効く。真っすぐでもフォークでも、10割の力で投げるのと、7割くらいの力で投げるのとを使い分けるのだ。
これだけで、スタミナが温存できるし、打者のタイミングを崩すことができる。キャッチボールから強弱を意識してやれば、先発松井にも大きな武器になる。